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【ビジネス書】『お金2.0』佐藤航陽

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『お金2.0』
佐藤航陽


素晴らしい”現代のお金”の教科書

社会と技術の進化によって
「お金」に対する考え方が
劇的に変わってきている


そんな時代の中で
我々はなにを大切にし
どう行動したらいいのか

正しく「お金」の正体を捉えることで
そのヒントを得ることができる

そんな一冊


オススメ度は5.0!

誰にでもオススメできる

箕輪さん編集の安定のわかりやすさだ!




この本を書いた目的は、「お金や経済とは何なのか?」、の正体を多くの方に理解してほしい、そして理解した上で使いこなし、目の前のお金の問題を解決してほしいということです。


テーマは大きく2つ

・「お金」のコモディティ化とは何か


・「価値主義」とは何か

テクノロジーと社会の進歩によって
お金のコモディティ化が進み
価値判断の基準が変わってきている

そうなるとお金やモノといった
「資本」が重視されていた社会から


数値化が難しい別のものに「価値」 が見出されるようになる


それはどんな「価値」なのか
求められる「価値」が変わった社会で
我々はどのように生きていったら良いのか

そういったことについて見ていく



「お金」のコモディティ化とは何か

あらゆる人が多くの情報にアクセスするようになった現代
その結果今起きている最大の変化の一つが


「中央集権化」から「分散化」

へのパラダイムシフト



もうちょっと簡単に言うと
一箇所に必要なものを全て集めて
その「大きな1」が 「多」に対して
均質に素早く処理する 時代から

多様な個から
多様なサービスを多様な個へ
届けるという時代への変化


UberやAirbnbに代表される
シェアリングエコノミーもこの分散型の時代を反映したサービスだし
ブロックチェーンは分散型台帳技術と呼ばれる技術

様々なものを中央集権化することで発展してきた近代が
このように分散化していくということは
とてつもなく大きな変化の一つなのだ


「分散化」は現代を見る時の覚えておきたいキーワードの一つだ



分散化が進んでいくとどうなるかについて
著者は以下のように述べている

分散化が進んでいくと情報やものの仲介だけでは価値を発揮できず、独自に価値を発揮する経済システムそのものを作ることができる存在が大きな力を持つようになっていきます。



情報やものに偏りがあった時代はその仲介が価値となったが
それでは価値にならないというわけだ


だからこそシステムそのものを作る必要がある
プラットフォームビジネスというのもこの一つであるだろう


それに加えて
テクノロジーによって進む


「自動化」


IoT・AI・ブロックチェーンが絡み合うと、このように勝手に回り続ける経済圏を作ることができ、従来のビジネス構造を根本的に変えてしまう破壊力があります。


今まで中央集権型だったわけは
それが一番効率的だったから


情報の偏りもなくなり
テクノロジーが進歩し自動化できることが増えた結果
分散化が実現できるようになってきている


様々なものが分散化されていく中で
お金も分散化される

国、銀行が一括管理していたお金も
ブロックチェーンという技術を使えば
仮想通貨という形で
誰でも発行ができるようになった
お金が今ほど貴重なものと考えられなくなる



これが「お金のコモディティ化」だ このようにお金がコモディティ化されると

先ほどに戻るが結果としては

どのように経済圏を作って回していくかというノウハウこそが重要な時代に変わっていくと考えています。




「価値主義」とは何か

今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。


例えば企業の資産としてお金以上に
「人材」と「データ」の価値が高まっている

「人材」を集めるために
企業の「ミッション」が重要になり

「データ」をもらうためなら
「無料」でサービスを提供する


ではそもそも価値とは何なのか
この本では3つに分類されています

  1. 有用性としての価値

  2. 内面的な価値

  3. 社会的な価値



<有用性としての価値>
これに関しては改めて言うまでもないだろう
今まで重視されてきた価値だ


現実世界で役にたつものや
生活必需品に関係する価値

しかし、ものが行き渡って豊かになった世の中では
この価値が下がってきている

変わりに価値が上がってきているのが他の2つ



<内面的な価値>

愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役にたつわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に、価値があるという表現を使います。

<社会的な価値>

個人ではなく社会全体の持続性を高めるような活動も私たちは価値があると表現します。



これら2つは「有用性」はないが
「価値」はある




人間にとって大切なのは
「貢献」「人間関係」 という話もあるが
まさにその2つである


いわゆる資本主義は有用性にかなりウエイトが置かれている状態
そしてその「有用性」という価値は「お金」で媒介されやすいものだった
「お金」で価値をやり取り資本主義では「有用性」という価値だけが
注目されていた


「価値」の媒介手段が増えて
「内面的な価値」「社会的な価値」にも
注目が集まるようになることを
著者は


「価値主義」

と呼んでいる

価値主義とは資本主義と全く違うパラダイムではなく、これまでの資本主義が認識できなかった領域もテクノロジーの力を使ってカバーする、資本主義の発展系と考えてもらった方がわかりやすいと思います。

内面的な価値をカバーできるというのは例えば
Twitterのフォロワー数のことであるが

それを全面的に信頼しているのではない



「注目」や「関心」が
「評価」や「信用」という概念に すり替わっていることがあることには
警鐘を鳴らしている



悪目立ちYouTuberは注目はされるだろうが信用はされていない
「信用」とお金の関係については
『革命のファンファーレ』西野亮廣
がGood

www.thun-fine.com



「価値主義」で求められる人材の条件として
フェイスブックのザッカーバーグCEOのスピーチを引用している

 今日私が話したいのは、「自分の人生の目標(意義)を見つけるだけでは不十分だ」ということです。僕らの世代にとっての課題は、「”誰もが”人生の中で目的(意義)を持てる世界を創り出すこと」なのです。(中略)この社会を前に進めること、それが僕らの世代の課題です。新しい仕事を作るだけじゃなくて、新しい『目的』を創り出さなきゃいけない。



さすが成功者は言うことが違う

「自分の人生の目的を探す」のその先を見ちゃっている

これは著者の言葉だが

マズローの五段階欲求で言えば、最上級の自己実現の欲求のさらに先の欲求、社会全体の自己実現を助けたいという利他的な欲求が生まれてきてます。



で結局こういう時代にどういう人が求められているかというと
「好きなことに熱中していること」
ということになる

この世界で活躍するためには、他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを探すことが、実は最も近道だと言えます。(中略)その人でなければいけない、この人だからこそできる、といった独自性がそのまま価値につながりやすいです。

あくまで重要なのは自分自身と向きあった上で、自分の情熱を発見し、自らの価値を大事に育てていくことだと私は思っています。



そして最後に 人間が労働とお金から解放されるとどうなるか? これは個人的にも夢見ている世界の一つなので引用させてもらう

人間が労働とお金から解放されると、膨大に時間が空きます。そこではエンターテイメントが主要な産業になり、いかに精神的に充実させるかを追求していくことになるでしょう。ルネサンスのように、人間の創造性は精神的な充足を得るためにフル活用されて、VR/AR/MRなどのテクノロジーの発展とともに現代の私たちが想像もしないような様々な方向に精神は拡張していきます。

エンターテイメントは偉大 人の感情に訴える仕事につく人々を心から尊敬している
そしてエンターテイメントをさらに拡張させるテクノロジーもどうなるか楽しみだ!

まとめ

  • テクノロジーの進化によってあらゆるものが「中央集権」から「分散」へと変わってきている

  • お金もコモディティ化し「価値の媒介」の唯一の手段ではなくなった

  • 「有用性」だけでなく「内面的な価値」「社会的な価値」の重要性が高まっている

  • 「価値主義」では好きなことに熱中している人が求められる

これでも全然一部しか紹介できていませんが

「お金」にスポットを当てながら現代を見ることができる

素晴らしい本です

とりあえず自分は好きなことに熱中しようと思います!

長文読んでいただきありがとうございました