【ビジネス書】『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング
『FACTFULNESS
(ファクトフルネス)
10の思い込みを乗り越え、
データを基に世界を正しく見る習慣』
ハンス・ロスリング
TEDの人気プレゼンテーターのハンス・ロスリングさんが
人生の最後に、息子と息子の妻と作り上げた本
TEDトークはこちら
音声は英語だけど、日本語字幕がしっかりついてる
20分程度の動画なので、本に興味がある人はみてもらうといいだろう
ファクトフルネスとは、データや事実(ファクト)にもとづき、世界を読み解く習慣
玉石混交のデータがあふれる現代
情報を正しく読み取る能力(情報リテラシー)というのは
必要不可欠である
しかし人間にはとらわれやすい10の思い込みがある
本書では、
その10の思い込みを
世界は悪くなっているのか?それとも良くなっているのか?
を知ることができる 13の質問とその答え そして筆者の経験
を使って 紹介している
この本を読むメリットは
大きくわけて2つある
1つが
- 世界の基本的な事実を知れること
そしてもう一つが
- 人間が陥りやすい10の思い込みを知れることで
情報リテラシーが向上すること
世界の基本的な事実(教育、貧困、環境、医療、人口問題など)について
いかに世の中の人が知らないか!?
この世界の基本的な事実を知れるだけでもこの本を読む価値は十分にある
そして
なぜこれらの事実を世の中の人が知らないのか?
その答えが、人間が陥りやすい
10の思い込みである
1つ1つの思い込みに関して
その思い込みのために間違えてしまう問いと
実際にその思い込みが原因で著者が経験した失敗
が語られる
この、誰もが陥りやすい思い込みを
把握しておくことで、
思い込みに騙されず
情報を正確に読み解くことができるようになる
世界の基本的な事実
まず大前提が
時を重ねるごとに少しずつ、世界は良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし、課題は山積みだ。だが、人類が大いなる進歩を遂げたのは間違いない。
これである。ちょっと信じられない人が多いだろう
さっき画像で貼った質問の1つ
Q.低所得国にクラス女子の何割が、初等教育を終了するでしょうか?
A:20% B:40% C:60%
この答えはCの60%
先程の大前提を聞いた後でもAかBだと思った人がおおいのではないだろうか?
今や、低所得と呼ばれる国でも半数以上が初等教育をうけれるようになっているわけである。
もう1つ
Q.世界の平均寿命は、およそ何歳でしょう?
A:50歳 B:60歳 C:70歳
ちなみに日本は84歳
(厚生労働省)
これも答えはCである
日本が84であるという点に驚いた方もいるかもしれない
(これは世界一位の寿命である)
それでもなお、Bと予想した人も多いのではないだろうか
2000年では確かに65歳程度だったが、今では70歳を超える平均寿命となっている
アフリカなどの低所得国でさえ、60歳を超えている
(日本WHO協会)
他にも、
自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したか?
いくらか電気が使える人は、世界にどれくらいいるか?
極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったか?
これらの質問の答えがのっている
どれも、思っている以上に改善していることがわかる
ただ、ここで1つ気をつけてほしいこともある
10の思い込みでも触れるが、
「悪い」と「良くなっている」が両立する
ということである
だから、良くなっているからといって満足していいというわけではない
でも悲観的になりすぎる必要もないということ
良くなっていることはわかった上で、その点を正しく評価した上で より良くするために前向きに考えよう! ということだ
10の思い込み
10の思い込みをとりあえず列挙すると
- 分断本能
「世界は分断されている」 - ネガティブ本能
「世界がどんどん悪くなっている」 - 直線本能
「世界の人口はひたすら増える」 - 恐怖本能
危険でないことを恐ろしいと考えてしまう - 過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要」 - パターン化本能
「ひとつの例にすべてがあてはまる」 - 宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」 - 単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」 - 犯人捜し本能
「だれかを責めれば物事は解決する」 - 焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」
そろそろ長くなってきたので全部は触れられないが
特に重要だと感じた
最初の2つ
について触れておく
1. 分断本能
「世界は分断されている」
2. ネガティブ本能
「世界がどんどん悪くなっている」
3.直線本能、6.パターン化本能、7.宿命本能、8.単純化本能、9.犯人捜し本能
は分断本能と共通の部分があるし
4.恐怖本能、5.過大視本能、10.焦り本能
はネガティブ本能と共通の部分がある
まず1から
分断本能
人は誰しも、さまざまな物事や人々を2ちのグループに分けないと気がすまないものだ。そして、2つのグループのあいだには、決して埋まることのない溝があるはずだと思いこむ。これが分断本能だ。
良いか悪いか、勝ちか負けか、正しいか正しくないか
ついつい考えるときに二項対立で考えてしまう
しかしこれはとても危険で、世の中そんなにはっきり白黒つくものはない もっともっと複雑なものだ
先進国と発展途上国などという分け方の溝もどんどん埋まってきている
「あの人達は我々とは違う」
本当だろうか? そもそもあの人達って誰で、我々って誰だろう?
こういう考え方が大切
なにかの比較をするときも、どっちが良いか
って考えるのではなく、まずそれぞれメリット・デメリット両方を考える
どっちにだってたいていメリット・デメリットがあるものだ
両方をしっかりと検討する必要がある
二項対立ではなく、4つのレベルで考える など
中間がある、2つにわけれるほど単純じゃないことを意識しよう
というのが分断本能に対する対策
次に2
ネガティブ本能
世界はいつだって悪いニュースのオンパレードだ。反対に、ゆっくりとした進歩は、どれほど大規模であっても、何百万という人に影響を与えたとしても、新聞の一面に載ることはない。
報道がネガティブニュースが多いことは誰しも感じていることだろう
実際そのほうが注目を集めるわけだし
それによって防げている災難も多いのは間違いない
重要な役割だと思う
だから報道側が悪い というのではなくて
(9.犯人探し本能 に注意)
「悪い」ニュースが多いからといって
「悪くなっている」わけではない
ということを覚えておくことが大切
「悪い」というのは、良い状況や理想の状況との比較である
例えば今年インフルエンザにかかった人が10万人いたとする
理想は誰もかからないことなのだから、これは「悪い」ことである
ただ去年は20万人かかったのであれば
「良くなった」といえる
良くなった、悪くなった というのは過去との比較である
だから「悪い」と「良くなった」は両立するのである
ひとつの数字が、単体で意味をもつことなどない
「何と比較しているのかに注目する」ことは
データを見るときにとても大切
そして、ネガティブ本能を抑えるためには 悪いニュースのほうが広まりやすいことを意識する そして、少しずつかもしれないが良くなっているという事実にきづいてあげることが 重要である
まとめ
悲観的になりすぎずに世界は良くなってきていることを知る
自分の思い込みで事実を誤認しないよう気をつける必要がある
思い込みとして、分断本能、ネガティブ本能に特に注意する